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December 2006

差別?

ある中国人留学生の大学院生が「日本語で男女のことばが違うのは差別ではないですか」と聞いてきた。

一瞬戸惑った。言語の研究とは、ある言語のありのままの姿を観察することで、価値観とかイデオロギーを持ち込まないものだからだ。日本語の研究のために日本に留学してきている学生なのだからそれぐらいのことは当然知っているだろう。知っていて敢えて聞いてきたのだろう。ことばを使う人の意識がその言語に何らかの影響を与えることはあるからだ。日本社会における女性の置かれた境遇を考えれば「差別」というのもあながち的はずれとは言い切れない面もある。

歴史的に見れば女性差別のようなこともあったが、今は単なる習慣だと説明したら、「私が男のことばを使ったら校長先生が女のくせにと言った」と反論してきた。それはことばの問題ではなくその校長先生の人間性の問題だと言ったが納得しなかった。日本語に男女差があるからそういうことを言うのだ、と。

この学生の言うことは単なる恨み言だ。言語という社会習慣に対して、何らかの社会的な思潮を見いだそうとするのは相当に難しく、しかも具体的な事実を正確に捉えてからしか言えないことだ。
たとえば、男女のことばの違いは日本語だけにあるのか、いつからあるのか、方言ではどうなのか、どのような背景があるのか等々。

その学生は、男女差が日本語だけにあることではないことを知らなかった。これは驚きだ。
それだけではなかった。北京語と広東語に声調の数の違いがあること、同じピンイン(中国語の音を表音文字で記したもの。現在はローマ字が使われている。)でも音環境によって実際の発音が異なることも知らなかった。
中国の大学の教育水準がどんなものかは、実際に行って見てきているし、中国人「研究者」の受け入れもやっているからよく知っている。好意的な言い方をすれば、未だ文革による停滞さらには列強による植民地化による負の遺産を引きずっているのだろう。そんな状況だから学生がこうでもしかたがない。
そして、中国の教育はイデオロギーをバックボーンにして行われている。人文学では致命的だが、大学にそれを矯正する力はまだないようだ。

最後に「男女の服装の違いがあるのは差別ではないんですか?」と聞いたら黙った。

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宝探しごっこのような問題

看護大学の編入試験問題の模範解答を作ってくれと頼まれたことがある。ある文章に対していくつかの設問がある、現代国語の論説文のような問題だった。
あずけると言われたがその場で答えられるからとすぐその場で回答を作った。なぜそんなにすぐできるのか聞かれた。文章を読まなくても答えが分かるからだ。国語の問題の中にはそういうのがある。

別に私が試験問題を解くテクニックを持っている訳ではない。ただ常識で考えただけだ。
たとえば「その・・・」の内容を文中から抜き出すような問題は、「その・・・」の前に、しかもかなり近くにあって、「その」に当てはめて文意が通るような箇所が必ずある。
また「・・・」の理由は何かなどというのも同じようなものだ。たいてい同じ段落の前後の近いところにそれを説明している箇所がある。
なぜそうなのかは、自分で文章を書くときのことを考えてみればすぐに分かる。

こういう、考えなくても解ける問題は「宝探しごっこ」だ。予め答えが埋めてあってそれを探し出すだけだ。書いてある内容はどうでもいい。どこに埋まっているか探し出すテクニックだけで点が取れる。
これに気づいたのは中二の時だ。国語のテストの点がいまいちで、癪に障ったので中一の国語のドリルを買ってきて解きまくった。解いては買いに行きを繰り返して、中三のドリルまで買ってきて、ついには十冊を越えた。
「宝探し」に気づいてからは面白いように解ける。しかし、高校入試問題はそうはいかなかった。やはり、文章をよく読まなくては解けない。しかも、設問はその文章を理解できるような筋道を与えている。良い問題とはかくのごときものだと納得した。

N能研のwebにも「宝探し」があった。しかし、それは中学入試、十二歳の子供に対するものだ。大学と名が付く学校が同じレベルの問題を出してどうする?

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入試問題と学校のレベル

入試問題を見てると出題意図が不明なのがよくある。特に推薦入試などの「小論文」。

小論文と言うからには、問題を以下にとらえ、それを的確に表現し、ある結論に向かって論理を構成していく能力が試されるはずだと思う。しかし、中にはお粗末なものがある。聞くまでもないこととか、引用された文章の日本語がおかしかったりとか。

ある事柄(イデオロギーに関わることもある)の賛否を問うているとしか思えないものまである。これは小論文ではなく踏み絵だ。こういう問題に対してどんな採点をするのだろうか。はっきり言ってデタラメだ。

入試問題によってその学校の教員のレベルが推し量られる。それをチェックするであろうはずの学校のレベルも。

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ライナーの日本語

アイリッシュのCDを買うとライナーの日本語に愕然とする。
「こいつ自分を偉そうに見せようとして墓穴を掘ってるな」とか。

漢語を使うと格調高く見えるという一般的な傾向がある。だから「史記にこういうことばがあります」とか言うと途端に価値が上がったりする。
だがそれも一知半解ならやめた方がいい。いや、一知半解だと自覚しているような人は引用などしない。

田舎者が背伸びをして、かえって笑われる。アイリッシュのCDのライナーはそんな日本語の宝庫

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